全国俳誌協会 流派・傾向を越えた懇話会的な俳句の交流の場

全国俳誌協会

 -National Haiku Magazine Association-

平成24年度の活動 -全国俳誌協会-

全国俳誌協会は、昭和三十八年に設立され、当初は二百を超える結社の参加があったが、時の流れとともに徐々に参加誌が姿を消し、今では五十を切る状況となっている。
 しかし一昨年より、新たに参加を表明する結社が増え、新たな時代の新たな使命を模索している。
変わらないのは、流派、傾向を超えた交流の場を作り出すということだが、それに加え、「俳誌」というメディアの、ネット時代における存在意義を確認する活動を行っていきたい。
 そうした観点からも、本年、第三回を迎えた編集賞には、大きな意味が託されている。
この賞を、俳壇全体に広げていく努力が必要である。  以下、順を追ってこの一年の活動を記す。

 

第四十九回春季吟行俳句大会は、四月二十八日、川崎市東扇島をめぐり、川崎マリエンを会場に句会を行った。

  • 第一位
  • 海底に都市あるごとく霞みをり
  • 森岡 正作
  • 第二位
  • 夏近し雲の言葉を聴く埠頭
  • 山口  明
  • 第三位
  • 浮くもののみな孤島めく春霞
  • 菊川 俊郎
  • 野村研三特選
  • 浮くもののみな孤島めく春霞
  • 菊川 俊郎
  • 佐怒賀正美特選
  • かぎろひてコンビナートの中に駅
  • 福島  茂
  • 手塚玉泉特選
  • 川崎にサメのあがりし蜃気楼
  • 金子 弓湖
  • 野木桃花特選
  • 父と来し渡船の記憶風光る
  • 大川 竜水

 

第十八回全国俳句コンクールには、目標の一千句を凌ぐ一二三六句の応募があり、協会賞一名、優秀賞四名、秀逸賞六名、佳作四十一名が選ばれた。

  • 協 会 賞
  • 雲が来るほか何も来ず葦の角
  • 佐々木紗知
  • 優 秀 賞
  • 子らはみな佳き名を持ちて入学す
  • 和田  仁
  •  
  • 満天の星のこゑきく冬木の芽
  • 武藤あい子
  •  
  • 懸大根村が民話になっている
  • 柏木  晃
  •  
  • 魂を置き忘れたる日向ぼこ
  • 清島 久門
  • 秀 逸 賞
  • 冬の薔薇コップに朝が満ちており
  • 山﨑 政江
  •  
  • また一つ廃校になり雪になる
  • 青木 一夫
  •  
  • 捨てられぬものに囲まれ冬ごもり
  • 佐藤 晏行
  •  
  • 四捨五入すれば善人ちゃんちゃんこ
  • 西崎 久男
  •  
  • 日と風に遊びきったる唐辛子
  • 和田  仁
  •  
  • 一月が盗まれているカレンダー
  • 秋尾  敏
                 

 

六月三十日(土)には、「四十九回定時総会・俳句大会」を、板橋区立グリーンホールにおいて開催。総会では、本年の行事等が審議され、原案通り可決された。  総会終了後は俳句コンクールの表彰式と俳句大会が行われた。俳句大会の結果は次のとおり。

  • 第一位
  • 万緑の明るさにゐて握り飯
    遠い日の山河が見えて夏帽子
  • 佐々木紗知
  • 第二位
  • 怖ろしき抽出しがある雲の峰
    漂泊に似て十薬のはびこりよう
  • 木之下みゆき
  • 第三位
  • 草笛の一音風を踏み外し
    緑蔭に力をもらう不土踏
  • 保坂 末子
     

終了後は、レストラン・サンイチにおいて懇親会を行った。

        

十月二十五日(木)。本年度の編集賞は、本阿弥書店と俳句図書館鳴弦文庫の後援を頂き、東京都新宿区のアルカディア市ヶ谷において授賞式・祝賀会を開催。八十名を超える出席者があって盛大な式典となった。
受賞誌は次のとおり。賞金の総額は十万円である。

  • 編  集  賞 「沖」(野村研三主宰)
  • 編集賞特別賞 「ぶどうの木」(杉本艸舟主宰)

審査委員には昨年に引き続き、俳人の池田澄子氏、近代俳誌の研究家である東海大学教授の伊藤一郎氏、俳誌編集のプロである本阿弥書店の田中利夫氏の三氏にお引き受けいただいた。選考にあたっては、形式、内容の両面から詳細にご検討をいただき、応募十誌から上記の俳誌が選ばれた。  授賞式では、現代俳句協会特別顧問の宇多喜代子先生に「私と俳誌」と題したご講演をいただき、貴重な体験談によって、俳誌の役割、編集の重要性、編集者の苦労などについて認識を深めることができた。


秋の吟行会は、十一月二十九日、東京都北区の王子駅周辺を散策し、岸町ふあいセンターで句会を行った。

  • 第一位
  • 静かな耳を渇水の冬滝へ
    落葉掃き石の言葉に触れている
  • 市川 唯子
  • 第二位
  • 水涸れて名主の滝の立往生
    冬木立風の行方を見届ける
  • 相沢 幹代
  • 第三位
  • 別姓もいい冬枯の女滝男滝
    騙される幸せ御領のきつね穴
  • 表  ひろ

来年は協会設立五十年という節目の年となるので、それにふさわしい活動を作り出していきたい。充実した活動のためには、当協会の趣旨にご賛同頂ける参加誌を増やしていくことが必要となる。「俳誌」というもののあり方を、ともに考えて下さる方々に参集を頂きたい。

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