全国俳誌協会 流派・傾向を越えた懇話会的な俳句の交流の場

全国俳誌協会

 -National Haiku Magazine Association-

平成27年度の活動 -全国俳誌協会-

全国俳誌協会、この一年

秋 尾   敏

 俳誌の力が弱まっている気がする。 俳句総合誌が書店で目立たなくなった。
書店に流通させず、直販に頼る俳誌も増えた。 結社誌、同人誌の数も減っている。

 俳誌に未来はあるのだろうか。
俳句文化がネット社会にうまく移行するのであればそれでよいのだが、俳誌が培ってきた俳句の文芸としての水準は保たれるのかが不安だ。

 近代俳句百五十年の歴史を担ってきたのは俳誌である。
明治期に出現した雑誌というメディアを活用して、俳句は近代を生き延びた。

 

四月二十三日(木)、東京都墨田区の向島百花園にて第五十五回春季吟行俳句大会を開催。
散策の後、ユートリア(墨田生涯学習センター)にて句会を行った。

  • 第一位
  • こめかみも亀の首根も春暑し
    肩と背に乗るもの脱いで竹の秋
  • 佐怒賀正美
  • 第二位
  • おどりこ草ほどよき風のあそび癖
    荷風忌や百花にありし百の色
  • 大川 竜水
  • 第三位
  • どの径も若葉のしめり向島
    黄の蝶の明るさとなる百花園
  • 星野 一恵

 

第二十一回全国俳句コンクールには八百八十句の応募があり、
左記の作品と、秀逸賞六句、佳作三十七句が選ばれた。

  • 協会賞
  • 行者来て荒ぶる滝となりにけり
  • 福田えいじ
  • 優秀賞
  • 大根干す笑う力のあるうちに
  • 棚橋 麗未
  •  
  • 古民家に神様多し鏡餅
  • 宮下 艶子
  •  
  • 沈黙も答えの一つ春の雪
  • 杉浦 悦子
  •  
  • 一本の大樹を叩き卒業す
  • 中岡 昌太
  •  
  • 鬼やらい指の先まで声にして
  • 奥村 利夫
  •  
  • 梟が真うしろをみる日暮あり
  • 佐々木幸子
  •  
  • 島国の形で揺れるハンモック
  • 久保 遡反
  •  
  • 釘を打つ音の華やぐ初芝居
  • 西﨑 久男
  •  
  • 黄のチョーク折れる憲法記念日
  • 東  國人
  •  
  • 一枚ははずれぬままに障子貼る
  • 橋本 和葉
  •  
  • しゃぼん玉中途半端に幸福で
  • 西﨑 久男
  •  
  • 家宝とはこんなものかも火吹竹
  • 水戸 勇喜
  •  
  • 踏切は抱かれて渡る七五三
  • 小林みつ子
                 

五月三十一日(日)には、「第五十二回定時総会・俳句大会」を、東京都中小企業振興公社秋葉原庁舎において開催。
総会では、本年度の行事、新役員組織等が審議され、原案通り可決された。
 総会終了後は俳句コンクールの表彰式と俳句大会が行われた。俳句大会の結果は次のとおり。

  • 第一位
  • 髪洗いひそかに時効待っている
    密談のいずれは漏れるアマリリス
  • 杉浦 悦子
  • 第二位
  • お元気なお尻が並んで五月晴れ
    いっぴきのために値切りし金魚玉
  • 鍬守 祐子
  • 第三位
  • 人間を脱ぐ森林浴の産衣着て
    星涼し母郷へ帰る無蓋貨車
  • 工藤  進

九月一日(火)~八日(火)まで、東京都千代田区の沖ギャラリーにて沖積舎との共催で「現代俳句色紙短冊墨書展」を開催。
池田澄子、佐怒賀正美、嶋田麻紀、野木桃花、島村正、山本千代子、能村研三、伊藤伊那男、中尾公彦、増成栗人、高野ムツオ、森須蘭、秋尾敏、藤田直子、田中陽、松澤雅世、伊藤政美、望月百代、鹿又英一、早乙女文子、杉本艸舟、松尾隆信、倉田しげる、大牧広、鈴木節子、塩野谷仁、加古宗也各氏の作品を展示。百名を超える入場者があった。


十月二十日(水)、東京都新宿区の京王プラザホテル四十四階アンサンブルにて、本阿弥書店、及び俳句図書館鳴弦文庫の後援により第六回編集賞授賞式を開催した。

  • 編  集  賞 「鴻」(増成栗人主宰)
  • 編集賞特別賞 「秋麗」(藤田直子主宰)
  •        「晶」(長嶺千晶代表)

審査委員は、俳人の池田澄子氏、近代俳誌の研究家である東海大学教授の伊藤一郎氏、俳誌編集のプロである本阿弥書店の田中利夫氏の三氏。
選考にあたっては、形式、内容の両面から詳細にご検討をいただいた。


十一月二十五日(水)、秋の吟行会は、東京都北区の旧古河庭園を散策。滝野川文化会館で句会を行った。

  • 第一位
  • 雪吊りや庭園にわかに畏まる
    光陰を渦にしずめる冬の薔薇
  • 大川 竜水
  • 第二位
  • じっと鴨このまま浮寝に入ろうか
    踏み石のまん丸またいで冬に入る
  • 保坂 末子
  • 第三位
  • 公私とも多忙山茶花になりきるか
    冬を束縛荒縄と菰と虚無
  • 諸藤留美子

参加者は三十三名。雨模様の寒い一日であったが、楽しい一日となった。
次年度に向け、さらに充実した活動を計画したい。

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