全国俳誌協会 流派・傾向を越えた懇話会的な俳句の交流の場

全国俳誌協会

 -National Haiku Magazine Association-

平成28年度の活動 -全国俳誌協会-

全国俳誌協会、この一年

秋 尾   敏

 今年度は、編集賞の事業をいったん休止し、協会賞と新人賞を募集することにした。
俳誌の形式面ばかりでなく、作品面の充実にも寄与しようという思いからである。
協会賞・新人賞と編集賞は隔年で授与しようと考えている。

 

四月二十一日深大寺と神代植物公園において、第五十七回春季吟行俳句大会を行った。
句会場は神代植物公園植物会館。自由にのびのびと詠った句が評価され、気持ちのよい吟行句会となった。
結果は次のとおりであった。

  • 第一位
  • なんじゃもんじゃなんじゃもんじゃと水滴る
    若僧へ鳩のあまえる余花残花
  • 山﨑政江
  • 第二位
  • 著莪群れて風に消されてゆく言葉
    鬼太郎を転がしている春嵐
  • 表 ひろ
  • 第三位
  • しんしんとぼうたん雲に錆びゆけり
    ぼうたんの白の浮遊をわたくしす
  • 久野 康子

 

五月二十九日(日)には、中央区銀座の東京都中小企業会館九階講堂において、第五十三回全国俳誌協会定時総会を開催した。山口県から「山彦」主宰、河村正浩氏も参加してくださり、充実した総会となった。議案はすべて計画どおり承認された。総会後、第二十二回全国俳句コンクールの授賞式が行われた。上位入賞句は次のとおり。

  • 全国俳誌協会賞
  • 空っぽの村を叩いて布団干す
  • 佐伯 喜誠
  • 優秀賞
  • 春光をつまんで伸ばして飴細工
  • 保坂 末子
  •  
  • 山頭火ぽつんと枯野深くする
  • 島田八重子
  •  
  • 海と山同じ暗さや冬銀河
  • 平賀 節代
  •  
  • 八月の水から記憶溢れだす
  • 星野 一惠
  •  
  • 風花舞う母が壊れてゆくように
  • 保坂 末子
  •  
  • 指先にまだある余寒卵割る
  • 杉浦 悦子
  •  
  • やどかりの足がさぐっている浮世
  • 島田八重子
  •  
  • 胡桃割る縄文人となりて割る
  • 福田えいじ
  •  
  • 春隣足にやさしい靴選ぶ
  • 高曽根静子
  •  
  • 桜餅幸せそうな口げんか
  • 岡田 淑子
  •  
  • 豆腐屋の露地の奥まで来る師走
  • 大堀 祐吉
  •  
  • 青墨の香の漂へる二日かな
  • 小田 幸子
  •  
  • 海鳴りや冬百日の始まりぬ
  • 保坂 和郷
  •  
  • 髪切って人日の身の軽さかな
  • 小田 幸子
  •  
  • 鉛筆の尖りしままに卒業す
  • 日野 百草

 総会終了後の俳句大会も密度の濃い句会となった。

  • 第一位
  • 江戸古地図開けば蝶の席がある
  • 岡田 淑子
  • 第二位
  • 銀座にはたまに来るべしかんかん帽
  • 野口 京子
  • 第三位
  • 明易の枕は繭になりたがる
  • 小笠原 至
                 

八月二十日(土)には北区の北とぴあにおいて当協会協賛の「第四七回原爆忌東京俳句大会」が開催され、秋尾が代表委員として参加。常任幹事早乙女文子も役員として活動した。記念講演は漫画家のちばてつや氏。一九三九年生まれのちば氏は、満州国奉天からの引き揚げの悲惨な体験を語り、平和を強く訴えた。


十月九日(日)には、ホテル東京ガーデンパレスで、新俳句人連盟七十周年祝賀会が開催され、ここも秋尾が出席した。新俳句人連盟は、昭和二十一年に結成され、戦後のあらゆる俳句団体の源流となっている。時にそのことを忘れたような俳句史を見かけるが、認識不足と思う。また新俳句人連盟が過去の機関紙「俳句人」のすべてをPDFファイルに収め、DVDに記録して配布したのは画期的な試みであると思った。紙で残せば六百数十冊は大変な嵩となるが、デジタル化すればDVD二枚に収まってしまう。図書館の負担も軽くなるというものである。


十一月十七日(木)には、荒川区千住大橋周辺にて第五十八回秋季吟行俳句大会を開催した。句会場は素戔雄神社参集殿。「鷗座」の松田ひろむ主宰、「かびれ」の大竹たかし主宰、「くじら」の中尾公彦主宰らも参加し、地元である大竹主宰の解説などもあって、充実した吟行会となった。次に上位句を示す。

  • 第一位
  • 小春日や芭蕉の笠に触れもして
    冬紅葉首塚に陽の当たりたる 
  • 柴田美枝子
  • 第二位
  • 銀杏黄葉旅の用意は出来ている
    省略を極め尽くして寒鴉
  • 今野 龍二
  • 第三位
  • 大橋を旅の力に枯野まで
    神域の重さを遊ぶ冬の鳥
  • 笈沼 早苗

協会賞・新人賞はすでに募集期間を終え、審査の準備に入っている。
春には賞を決定し、来年五月二十七日の総会が授賞式となる。  次年度は編集賞を復活させるので、多くの俳誌の参加をお願いしたい。

▲TOP