全国俳誌協会 流派・傾向を越えた懇話会的な俳句の交流の場

全国俳誌協会

 -National Haiku Magazine Association-

 

第2回編集賞


編  集  賞 「天為」(有馬朗人主宰)

特  別  賞 「菜の花」(伊藤政美主宰)

全国俳誌協会 第2回編集賞授賞式 第二回全国俳誌協会編集賞として、「天為」(有馬朗人主宰)、特別賞「菜の花」(伊藤政美主宰)の二誌の受賞が決定。十月二十七日アルカディ市ヶ谷におきまして授賞式と祝賀会を開催しました。
 それぞれの俳誌が持つ考え方や主張が重要であることはいうまでもありませんが、当協会は、流派、傾向を越えた伸びやかな交流を図ることによって、それぞれの個性を発展させることができると考えています。
そのためにも「編集」という視点から俳誌を見つめ直すことが有益と考え、編集賞を設定いたしました。
 常任幹事会において第二回編集賞の開催を確認。
その後、顕彰部を中心に計画を立て、審査委員には昨年に引き続き、俳人の池田澄子氏、近代俳誌の研究家である東海大学教授の伊藤一郎氏、また俳誌編集のプロである本阿弥書店の田中利夫氏の三氏にお引き受けいただくことになりました。
 一次審査は資料をお送りしての自宅審査。
その結果を持ち寄っていただきき、第二次審査を人形町の会場で九月二十八日に行いました。
 選考に当り、まず、表紙の色彩の調和、字配り、本文の文字の組み方、活字の濃淡、大きさ、行間、そして俳誌の特徴、イラストの入り具合、内容は勿論のこと、奥付けに至る隅々までお目通しをいただき受賞誌を決定しました。
 審査に同席させていただき、この協会に加盟している以上、編集賞には必ず応募すべきであると、身に沁みて感じ入りました。
どんな小さな俳誌にも、先生方の温かい視線が行きわたるということに気付いたのです。当協会五十周年に向け、さらなるご応募お待ち申し上げます。 

審査講評


変える 変えない

池田 澄子

編集に関して私は素人ですから、俳句が好きな普通の一人として、
私が会員だったら、その俳誌は嬉しい存在かどうか、を考えました。
「天為」は、会員数が多いので、とてお厚い本。
頁数が多いということは様々な会員が居るということ。
そのことに「天為」の編集は応えていました。各誌面は会員のやる気を反映しながら、去年と同じではなく先月と同じでなく、という覇気を感じさせます。毎号、何が現れるか開くのが愉しみなことでしょう。
 「菜の花」はオーソドックス。表紙のデザインも、中の企画も、俳句の並べ方も毎号全く同じ。特別のことは探しても見付かりません。

しかしほっとするほど美しい。

文字の大きさ、並べ方、字体の組み合わせ方、全てがしっくりしていて、何よりも俳句が読みやすい。雑念を寄せ付けないのです。
菜の花色の表紙のこの本が届くたびにホッとしそうです。
 数頁の本でも、小さなところで会員への濃いメッセージが読み取れる「銀杏」など、好感が持てました。

結社の実力・姿の美しさ

伊藤 一郎

編集賞受賞の『天爲』の記事が充実していることは言うまでもないだろう。
特に、一月号のシンポジウムは、結社の力量をうかがわせる企画であった。
有馬朗人主宰が毎号巻頭にエッセイと作品を掲げる点も、旗幟鮮明でよい。
しかし、受賞の理由はそれだけではない。「日本漢詩の世界」や「名詩の世界を遊ぶ」など、俳句外の世界につながる試みを、編集上の工夫として評価したい。
 『菜の花』の特別賞は、そのすっきりとした姿の美しさに与えられた。姿とは、内容とデザインの両方の姿である。
コンパクトでありながら、過不足ない記事がそろう。

記事ごとのページデザイン、いわゆる版面(はんづら)の美しさが、なんとも言えない調和を雑誌全体にもたらしている。
表紙は菜の花色の地に、緑で誌名・号数が書かれているだけなのに、忘れがたい印象を残す。
受賞後のパーティーで、伊藤政美主宰にお聞きすると、創刊時から続くこのデザインの作成者である友人が、受賞を前に亡くなられたという。
その点でも意義深い受賞となったようである。

俳誌は世界に誇る日本の文化

田中 利夫

日本の詩歌雑誌の現状についてまず俯瞬してみよう。俳壇全体の俳句結社数は約八〇〇社。歌壇の結社数は約六〇〇。詩誌は約七四〇社である。
詩歌全体で合計すると、約二一四〇誌にもなる。
これは月刊、隔月、季刊、年刊の合計で、本を平積みにすると、なんと約五メートルにもなる。部数も五〇~一二〇〇部位とかなりレベルが違う。
昨年も述べたが、日本は世界に類のない詩歌大国なのだ。
毎日、どこかで句会や歌会や吟行が行われ、詩歌を詠んでいる。
 全国俳誌協会の予選を経て最終選考に残った参加誌は七誌、会の規模によって作りは様々だが、選考は①会の主張は明確か②会の活動は活発か③会の俳句作品の良さ④企画・デザインの四点について吟味した。編集賞の「天為」は有馬朗人主宰の主張が明確で企画・デザイン・俳句の質、三拍子揃った俳誌として文句なく、授賞が決まった。
特別賞の「菜の花」は七十頁ほどの小雑誌だが、四十八年の歴史がある俳誌である。
黄色いシンプルな表紙に、本文の組版、デザインの美しさは他に類を見ない。
作品、エッセイ、句会報告、書評、会員のひろば等コンパクトに美しく入っている。ということで授賞した。

受賞者の言葉


全国俳誌協会

「天為」 有馬朗人主宰

俳句で表彰されたことは素直にうれしい。
対馬編集長を中心とする編集部全員のがんばりの結果として、ありがたくお受けしたい。
 俳句は国際的にもひろく認められてきた。それは特別の素養・知識がなくとも文芸に深くかかわっていない、一般の人たちが気軽に参加できる「短いこと」にも一因がある。
英語でつくる日本の若者。日本語で俳句を書く外国人、それぞれが前向きに挑戦している。

「菜の花」 伊藤政美主宰

 ガリ版刷の句会報からはじめて「菜の花」は五十年になる。
活字の大きさ、組み方まで見ていただき「気持のいい編集」と評価されたことはまことにうれしい。
古い会員のデザイナーが原型をつくりました。いわば全員で作った《みんなの雑誌》です。
 あくまでも作品を大切に考え、この受賞をさらなるはげみとし、すみずみまで気をくばった「菜の花」にしてまいりたいと思います。

第2回編集賞記念パネルディスカッション


表彰式・祝賀会

五時三十分を少しまわって開会。司会は手塚玉泉副会長。
秋尾会長の司会による能村研三副会長、佐怒賀正美副会長、鹿又英一「蛮」代表によるパネルディスカッション(次ページから掲載)に続いて表彰式が行われました。 「天為」の有馬朗人主宰は、国の委嘱で座長を務めておられる理科教育関係の会議から駆けつけて下さり、「菜の花」の伊藤政美主宰は遠く三重からお運び下さり、お二人のお心のこもったスピーチによって、会は一気に盛り上がりました。

 祝賀会は、この賞の後援をして下さっている本阿弥書店の本阿弥秀雄社長のご発声で乾杯。
第一回受賞社「遊牧」の塩野谷仁代表、「あすか」の野木桃花主宰からお祝いのスピーチをいただき、また、「天為」の対馬康子編集長、「菜の花」の犬飼孝昌編集長からも、実際に編集に携わる立場からの内容のあるお話があり、俳誌編集の大切さが実感される時間となりました。
遠くロサンゼルスから「天為」同人の青柳飛(フェイ)氏、また千葉県俳句作家協会会長の今留治子氏などのご参加もあり、多士済々の集う祝賀会でした。

俳句はよく「座の文芸」であると言われます。
考え方、方法論に違いのあるメンバーであっても、一石を投じ合うことが新しい刺激となり、
前向きで創造的な座を構築していくことになる、と再認識させられる会でした。
 写真撮影は「秋」の佐怒賀蒔子さんに全面的にご協力をいただきました。共同印刷様からは盛花を頂きました。
厚く御礼申し上げます。

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