全国俳誌協会 流派・傾向を越えた懇話会的な俳句の交流の場

全国俳誌協会

 -National Haiku Magazine Association-

 

第一回全国俳誌協会 協会賞/新人賞


協会賞  日野百草

奨励賞  山口明

新人賞  該当なし

能村研三奨励賞  松尾清隆

佐怒賀正美奨励賞  石川ゆめ

協会賞·新人賞の授賞について

本年度より当協会の顕彰事業として、協会賞·新人賞を授与することにした。過去 にも協会賞の授与は行われていたが、継続的ではなかったため、改めて本年度を第一 回と数え、隔年程度の実施を目指していくことにする。 協会賞二十句·新人賞十五句を募集したところ、協会賞二十編、新人賞九編の 応募があり、上記の結果となった。応募して下さった方々に感謝を申しあげる。


協会賞受賞作品

出稼ぎの父春泥を押し戻す  音一つ二つ誘蛾の灯と消ゆる

磯竈最後の海女が消しにけり  帰省子の皆横たわる島の船

石垣の乱るるままの斑雪かな  過去帳は苗代茱萸の色かとも

無住寺に拈華微笑の余花賜う  蘡薁(えびずる)の産毛に重さ加わりぬ

抜け道は逃げ道でなし花岩菲  葬列に額ずく白膠木(ぬるで)紅葉かな

麦秋や支那の育てし孤児帰る  綿虫や六字名号痩空也

苧殻焚く戻らぬ声のありにけり  程々に熱あるままの浮寝鳥

死も何時かこの蠛蠓(まくなぎ)に覆わるる  波郷忌や青の時代の肋骨

鹿の子の峨々たる巌飛びにけり  山神に火粉を飛ばし榾を焚く

雹降りて池塘の景を引き寄せぬ  玉砕の島より鷲の羽ばたけり

全国俳誌協会協会賞

日野百草
昭和47年千葉県野田市生れ、本名、上崎洋一、平成26年9月、学士入学していた大手前大学の元学長、川本皓嗣東大名誉教授の授業で俳句に興味を持ち、 同年未より「ホトトギス」に投句を始める。平成27年三月より河東碧梧桐創立「海紅」編集委員、海紅百周年記念句集編集人を経て、現在「玉藻」「鷗座」同人、「軸」会員。現代俳句協会、新俳句人連盟会員、日野市在住。平成29年第三回宝井其角大賞(二十句詠)準賞受賞。『鷗座』誌にて「悔も若しー赤城さかえ評伝ー」連載中。


奨励賞受賞作品

ルーペ携え草の実の小宇宙  花八手直道を行く父の背

鈴生りの柚子弟がもしいたら  冬が来ている内懐という異郷

ささくれを絶つ十一月の勾玉  生業の冬旨みあろうとなかろうと

かささぎの反骨きりり今朝の冬  冬青草踏み活力を持ち帰る

倚りかかるなら小春日の榛の木  柊の花混沌をつきぬけて

外はしぐれてぐっとくるテキーラ  山河引きしめる中空を大鷹

旅途中櫟の樹皮にふれて冬  街騒を抜けさざんかの深呼吸

魂胆は何枯蟷螂の出し抜けに  何の前触れ十一月の雪の華

水鳥を待つ団塊の持ち時間  冬青空今あらためて思うのは

アナログの冬に潜んでいる奈落  立ち位置を問われて振り向く枇杷の花

全国俳誌協会奨励賞

山口明
昭和22年吉川市生れ。平成20年「軸」入会。秋尾敏主宰に師事。
24年同人。軸新人賞受賞。


新人賞 能村研三奨励賞受賞作品

河骨のめぐり夜空のやうに水  特別なビー玉入りのラムネ瓶

傘たてに挿さぬ傘なり日傘とは  木下闇いでて途切れぬ不安あり

白き家並片蔭は石の色  革製品の香の濃き西日入る店

夜濯ぎの音とも貨物列車とも  峰雲を仰ぐにつかふ昼休み

夏霧の街とほくよりブレーキ音  夜の秋硝子の奥に展翅板

雨止んでゑのころぐさの枯れそむる  書店員も月をみあげてゐる頃か

残菊やちり紙手渡されてをり  音の出る円盤まはる文化の日

秋ともし景品交換所にも点る

能村研三奨励賞

松尾清隆
昭和52年神奈川県生れ。平成15年より「松の花」に投句。18年より同人。
25年退会、28年より復帰。


新人賞 佐怒賀正美奨励賞受賞作品

動かねば桃尻ならぬももとしり  老婦人笹舟に無邪気をのせている

流される裸足のままの夕化粧  頼りない薬指食む女郎蜘蛛

夏の坂呼吸ばかりが先に行き  塗装した白い埴輪の磯遊び

サンダルの我残されて登校日  路地のうら懺悔の蝉の恋死せり

浮き立った満員電車の蚊の羽音  つぶやきに責任持てぬ炎天下

恋という錯覚の月痩せ細る  ミイラたち輪廻の夢見る星月夜

コスモスに大事なフレーズ奪われる  サンタへの願ぎ事尋ねる夜の道

厳冬の島は生と死抱え込む

佐怒賀正美奨励賞

石川ゆめ
昭和56年千葉県野田市生れ。平成27年春頃から作句開始。

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